異文化交流
今年は新型コロナウィルスの影響で、今まで当たり前とされてきた学びの形式が立ち行かない現実を突きつけられましたね。
我が家は、在宅勤務をしながら休校中の息子の扱いに頭を悩ませました。
ドリルをさせてみたり、オンライン講座を申し込んでみたりと試行錯誤を続けるのですが、当の本人には全く響かず、私だけが空回っていました。
この度の休校を経験すると、オンラインによる学習はもっと進んでいくのだろうと実感しています。
話は少し飛びますが、私が帰国する時(16年前)すでに、日本にいてもアメリカの大学をオンラインで卒業できる、という制度を目にしました。
私は金銭的な理由から向こうの四年制大学へ編入することが叶わなかったのですが、アメリカの学位を日本からでも取ろうと帰国したことを覚えています。
今回の新型コロナウィルスの影響で、アメリカだけに限らずどこの国にいても世界中の大学や学校で学べる機会が増えるのでは?と期待がふくらみます。
それはそれで、良いな〜と思いつつ、やっぱり我が子や生徒の皆さんには一度でもいいから世界へ足を運んで欲しいと思う理由を書いてみます。
私は19歳でアメリカへ単身留学しましたが、19年間培った親や友達、自分の正しいと信じる価値観が海外の生活でいとも簡単に崩れ去る経験をしました。
当たり前だと思っていたことが、実は当たり前ではなかったという経験。とても視野が広がり、多様な文化や価値観に対する寛容さを身につける上でとても貴重な経験ができたと思っています。
例えば、
何を言っているのか聞きとりにくい私の英語をニコニコと静かに聞いて優しく受け答えしてくれるL G B Tカップル。
下手な英語を話すと電話口でもあっという間に切られたり相手にしてもらえないことが多かった時期にこのL G BTカップルとの出会いが性差別に対する私の偏見を無くしました。
アルバイト先のレストランでは、英語が下手だからということを理由に料金を払わずに出て行くお客さんを追いかけたこともありました。
その日、お金を支払ってもらったかの記憶はないのですが、お店に戻って、「銃を持っていたら撃たれるよ!危ないから追いかけるのはやめなさい。」と注意を受けたことは鮮明に覚えています。
銃が身近にあるアメリカならではの経験だったと思います。
また、今となってはとても笑い話なんですが、短大で人類学のクラスをとっていた時のことです。
自宅でダーウィンの進化論について勉強をして時に、ホストファミリーからお説教を受けたことがありました。
人類は神様が創造し、猿から進化したなんてことはありえない、という理由からでした。
その日の夕飯時に、10歳の男の子から聖書を読み上げられ、進化論について延々と間違っていることを諭されたことは今でもよく思い出します。
日本だと、宗教に関する思想を身近な人たちと話しあったり意見をぶつけ合ったりすることは少ないと思いますが、人口のおよそ90%が敬虔なクリスチャンと言われているアメリカでは、日常的なことだと、同じ人類学のクラスをとっていた、日本人の方が教えてくれました。
ホストファミリーとの間でおきた宗教問題ですが、クラスの始めに「宗教的に受け入れられない人はこのクラスをとるべきではない」と教授が言っていたことを実体験として理解できました。
オンラインでどこにいても仕事ができたり学習できることはとても良いことですが、時に海外旅行や短期でもいいから留学を経験してみて、異文化に触れてほしいと思うのです。
日本にいただけでは経験できない、驚きや発見の連続を子どもたちにも体験してもらい、彼らが大人になって遭遇するであろう未知なる社会の問題や課題にも柔軟に対応できる力を身につけていって欲しいと願っています。